蒸し暑い大阪の都市熱に魘されながらも白昼の熱帯で仕事をする。
灼熱の太陽がジリジリと体を刺し、肉体の水気を奪う。
汗ばむシャツは不快さのボリュームを最大量にしてくれる。
汗を手で拭い、正気を保つ為になす術も無くタバコを吸う。
まるで特にやる事の無い猫が気ままに毛繕いをする様に。
または、熱気を追い払う御呪いそれしか無いかのように。
子どもの頃、真夏の日中は外に出るな、帽子を被れと親に口やかましく言われた。
その当時、そう言われても真夏の日中に取り付かれたように野球をして遊んだ。
真夏の暑さや太陽の激しい光が全てを肯定しているかのように感じていた。
大人になると真夏は楽しい時間ではあるが、何かが決定的に失われてゆくように感じる。
例えば、正気さを保つ自分、冷静さと持つ思考、充実した時間など。
個人的な感覚だが、エネルギーの充足と共に略奪でもある。
汗ばむシャツは減量を重ねるボクサーのような格闘の証である。