9.25.2009

missing

大都会の交差点を渡る人込みの中ですれ違う人々の表情を詠む。

派手な化粧の若い女、深いしわの刻まれた老人、中年の赤ら顔のサラリーマン、不安そうな目をした子ども。
どこへ急ぎ、何を求め、何を見つけ、誰と出会い、これから何を話すのだろう。
夜も深いというのに大勢の人がこの薄汚い都会のど真ん中を足早に通り過ぎる。
きっと俺は不愉快な物を蔑むような目をしてこの交差点を今、横切っているに違いない。
俺は特別と思いながらも、なんらこの人々と変わらない。
いや、この人たちより何か焦っているかもしれない。
そして、見つける為と言うよりは、探し物をしながら生きているのかもしれない。
大都会の交差点の信号は短い。

やがて、信号は赤に変わり、駆け足で抜けてゆく人の背中を目で追う。
夜というのに、大きなサングラスをかけた若い女は慌てる事も無く交差点の横断歩道を歩く。
僅かな瞬間の確実に時間から零れ落ちる風景がそこにある。
信号は変わり待ちかねた車達が大きなエンジン音をたてて全てを遮った。

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